叱(しかり)
江戸幕府の刑罰の一つ。白洲によび出し,その罪を叱責するもの。急度叱(きっとしかり)と叱の2種があり,叱はその程度が軽く,幕府法上でも最も軽微な刑罰。「公事方御定書」には田畑永代売買の証人になった者,変死者を発見しても役所に届出ない者,盗賊を捕え盗品を取り返したうえ,盗賊を内証で逃してやった者など具体的に規定されている。また,このほか各種の犯罪に対してその罪状が軽い者にもいい渡された。当時の判決から多くの適用例がみられ,名誉刑的な意義も含め,刑罰体系に占める位置は大きかった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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