尊王論(そんのうろん)
尊皇論とも。政治支配秩序の安定をはかるために天下の統治者である王を尊ぶべきであるとする考え方。日本では儒教思想が体系的に摂取された江戸時代に盛んになった。尊王論は,君臣上下の名分を厳正に保つことが封建的社会秩序を維持するうえで重要であるとの考えから,その頂点に位置する天皇を崇敬せよとの主張で,その意味では幕府を敬うことと本質的な矛盾はない。しかし近世後期~幕末期に,幕府権力が弱体化するにともない,天皇が幕府にかわって国家統一のシンボル的存在として政治的に浮上し,ついには討幕論と結びついた。近代の天皇制国家では忠君愛国論に衣替えし,臣民道徳として人々の意識を規制した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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