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尊王攘夷論(そんのうじょういろん)

天下の統治者である王室を尊崇し,異民族を打ち払うという国内の政治秩序と対外意識に関する政治思想。元来は中国の儒学に起源をもつ思想。日本では江戸後期以降,国内の政治秩序の動揺と対外的な危機意識が高進する過程で唱導され,幕末期の政治思想として人々を政治行動へ駆り立てる役割をはたした。とくにその思想的形象化と社会的普及に影響を与えたのは,本居宣長(もとおりのりなが)の国学と会沢正志斎(せいしさい)や藤田東湖(とうこ)に代表される後期水戸学である。当初は,既存の政治支配体制を再編強化するための政治論であったが,1853年(嘉永6)のペリー来航以降,幕府が西洋諸国の開国強請に追随していくと,やがて朝廷を政治的統合の中心軸として押し上げ,また攘夷を実行しない幕府を倒すための政治的スローガンに変化していった。明治維新以後も忠君愛国として衣替えしつつ,昭和のファシズムが崩壊するまで生き続けた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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