塑造(そぞう)
塑土(そど)による造像技法で,心木に藁縄などを巻いてひっかかりを作ったうえに数層(だいたい2~3層)の塑土を粗いものから細かいものへと順に着せて造る。日本には乾漆造とともに7世紀半ば過ぎに輸入され,川原寺裏山出土の断片類や当麻寺(たいまでら)弥勒仏像(7世紀後半)にみられるような初唐様式による造像が行われた。法隆寺塔本塑像(711年)にはすでにきわめて練達した塑造技法がみられる。天平時代には官営造仏所により東大寺日光・月光(がっこう)菩薩像や戒壇院四天王像のような名品が造られる一方,この時代の仏教の地方普及にともなう豪族クラスの氏寺での造像も,多くが塑造だったとみられる。9世紀に入ると用いられなくなったが,鎌倉時代に再び中国の影響により一部で行われた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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