租界(そかい)
中国に進出した列強が,中国人との雑居にともなう不便をさけ,みずからの居住・貿易権を確保するために設置した一定の地域。アヘン戦争後の南京条約(1842)で広東・厦門(アモイ)・福州・寧波(ニンポー)・上海が開港されたのが端緒。とくに上海では1845年,居住・貿易権の強化をはかるイギリスと上海の地方官憲の間で土地章程が結ばれ,イギリス人専用の居住地域ができた。このイギリス租界は,63年にアメリカ租界を合併して共同租界となり,フランスも49年には上海にフランス専管租界をつくった。日本も日清戦争後,天津・漢口に租界を開設。第1次大戦直前までに中国に租界をつくった国は8カ国,租界総数は29カ所にのぼった。租界は時をへるにつれ「外国の領土」と化したが,第2次大戦後,中国はすべてを回収した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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