1. 用語
  2. 日本史 -そ-
  3. 雑徭(ぞうよう)

雑徭(ぞうよう)

律令制での労役負担の一つ。正丁(せいてい)は1年に60日以内(次丁30日,中男15日),国郡司により地方での雑役に徴発された。浄御原令で制度化されたらしいが,古訓はクサグサノミユキで,大化前代からの天皇行幸や使者への奉仕など,ミユキの系譜をひく朝廷のための労役という性格が強い。大宝令施行により国司の権限が拡大し,地方行政に不可欠な労役として範囲が拡大するが,徴発権は実質的に郡司にあった。どの範囲を雑徭としたかは諸説がある。国郡司が限度いっぱい使役するため,757年(天平宝字元)一時期30日に半減し,795年(延暦14)再び30日とされて定着し,京戸のみは銭納で天平年間には正丁120文であった。平安時代になると国司が徴発権を強め,国内の労役はすべて雑徭とされ,中央への徭帳の報告制度も成立し,やがて受領(ずりょう)による臨時雑役制へひきつがれた。雑徭は日本では唐と異なり課役に含まれ,定額税的性格をもっていた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう