総社(そうじゃ)
惣社とも。多くの神社の祭神を1カ所に勧請して祭った神社の称。一般には一国の総社をいう。一国の総社は,国司の巡拝・奉幣の便宜のため一宮・二宮以下国内の諸神を集めて祭ったのに始まるといわれる。総社は国府の近くにおかれ,国司の着任儀礼や朔幣,国内神名帳の奉読などの国衙(こくが)神事を行い,在庁官人・国人層結集の精神的支柱としての役割を担った。神領・神官の進退権は国衙在庁がもち,国衙在庁機構の一環を構成するとともに国鎮守とされた。初見は「時範記」康和元年(1099)2月15日条の因幡国の総社で,11世紀後半には総社制の実体が備わっていたと考えられる。ほかに一郡・一郷の総社や寺院内の総社,有力氏族邸内の総社などがある。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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