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蔵志(ぞうし)

日本初の実証的解剖書。2巻。山脇東洋著。1759年(宝暦9)刊。東洋は1754年閏2月7日,京都六角獄舎の庁前で刑死体を解剖(観蔵)。その解剖所見は紙数6枚の短文だが,日本最初の解剖記録で,本書の冒頭をかざる。浅沼佐盈(さえい)の蔵志図4枚,解剖1カ月後に行われた慰霊祭の祭文も載せる。大腸・小腸の区別を見落とし,膀胱の上が腸につらなり,脊椎が17個あるなど誤りも多いが,西洋解剖書の正確さと,物を先にして理を後にすることの重要性をのべている。「解体新書」が翻訳であるのに対し,本書は実地の観察である点に意義がある。刊行後,解剖反対論ないし無用論も高まったが,解剖は全国各地で行われるようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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