惣(そう)

中世農民の自治的な共同組織。惣は「すべてのもの」「全体」を意味する語。一揆の時代といわれる中世社会では,多様な階層のそれぞれに連帯し一味同心する共同組織が形成され,惣を冠してよばれることが多かった。たとえば,惣寺・惣国・惣郷・惣荘・惣村・惣百姓など。農民の惣結合は,その共有財産の取得や処分の際に惣として署判を加えたり,惣分や惣中の衆議で掟を定めた。そのため惣といえば,惣百姓組織が第1にあげられる。惣百姓結合の強化と広がりが,惣村を単位とした土一揆をうむ基盤となった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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