出挙(すいこ)
律令制下に広く行われた利息付き消費貸借。「出」は貸与,「挙」は回収の意。律令制成立以前から行われていた慣行を,中国にならって制度化したもの。稲・粟・酒・布・銭貨などのほか,財物全般が貸借の対象となった。国家が行う公的な出挙(公(く)出挙)と,私人が行う私的な契約による出挙(私出挙)がある。1年契約とすること,利息は10割を限度とし(稲・粟の公出挙は5割)複利計算をしないことなどのほか,債務不履行の場合の財物の差押えや労働による債務返還(役身折酬(えきしんせっしゅう))の規定もあった。狭義では稲の貸借をさすことが多く,雑税としての稲の出挙を公出挙,民間における稲の出挙を私出挙とよぶのが一般的である。なお,利息なしの消費貸借を借貸(しゃくたい)という。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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