歎異鈔(たんにしょう)
親鸞の法語と,その教説に反する異義への批判を弟子の唯円(ゆいえん)が編纂したもの。巻頭序・本文18章・末尾の総結からなる。本文前半の10章は親鸞がみずからの信仰体験をのべた法語で,悪人正機説,父母のため念仏せず,弟子1人ももたずなどの著名な言説がみえる。後半の8章は唯円が異義(学解往生・賢善精進・念仏滅罪・即身成仏など)を批判したもの。蓮如がみだりに披見することを禁じたので流布しなかったが,近代には親鸞の代表的著述として注目され,注釈や解説書も多い。蓮如書写本のほか,1701年(元禄14)刊本などがある。「岩波文庫」「日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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