弾正台(だんじょうだい)
�@「ただすつかさ」とも。律令制下の官司の一つ。違法行為を糾弾する特別検察機関。養老職員令の規定によれば尹・弼・忠・疏の四等官と巡察弾正10人,および史生・使部・直丁から構成される。職務は内外を巡察して非違を糾弾することだが,京内の摘発が中心で,諸国は訴訟があった際に受理して推問するだけであった。律令法上は,各行政官司が検察・裁判権を有し,弾正台はそれらが看過したものを糾弾する役割であった。規定上は民間の習俗の粛正も職掌とされていたが,実情は不明。二官八省から独立しており,その糾弾は奏弾式の書式で直接天皇に奏上することとなっていた。�A1869年(明治2)5月22日に刑法官監察司にかわって設置された機関。名称は律令制下の弾正台からとられた。行政監察と刑事司法の機能を有し,刑部省の死刑断案について干渉する権限をもち,横井小楠(しょうなん)・大村益次郎の暗殺については犯人の処刑に反対するなど,守旧派の姿勢を示した。このため刑部省をはじめとする関係官庁との衝突も多く,権限をしだいに削減されて71年の司法省設置により廃止された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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