檀家制度(だんかせいど)
寺檀制度とも。葬祭供養などを独占的・永続的に行う檀那寺と檀家との結合関係をもとに,江戸幕府が採用した民衆・宗教統制の制度。幕府は島原の乱が終結する1638年(寛永15)前後から,キリシタンや日蓮宗不受不施派の信徒でないことを寺院に保証させる寺請(てらうけ)を開始。71年(寛文11)宗門人別改帳の作成を制度化し,檀那寺と檀家との関係を固定して,原則として寺替え・宗旨替えは認めなかった。87年(貞享4)キリシタン縁者の監視を檀那寺の義務とする一方,檀家には檀那寺への参詣などを義務づけた。1700年(元禄13)頃には徳川家康に仮託された「宗門檀那請合之掟」が作成され,檀家の檀那寺に対する義務を明文化し,忌日の法要のほか,伽藍修復費や本山納付金などの経済的負担も強いられた。明治維新後は寺請制度が廃止され強制力を失ったが,風習として根強く残り,現在も日本人の宗教観に影響している。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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