為永春水(ためながしゅんすい)
生没 1790~1843.12.22 江戸後期の戯作者。本名は鷦鷯(ささき)貞高。江戸の町人出身で書肆青林堂を営む一方,寄席や演劇界に出入り。2世南仙笑楚満人(なんせんしょうそまひと)の名で滝亭鯉丈(りゅうていりじょう)と「明烏後正夢(あけがらすのちのまさゆめ)」(1819)を発表。合巻「総角結紫総糸(あげまきむすびゆかりのふさいと)」,読本「阿古義物語」,滑稽本「玉櫛笥(たまくしげ)」などもあるが,主力は人情本にあり,春水の名で出した「春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)」(1832)が好評で,人情本の元祖として人気を博す。門人たちと為永連を組織して合作方式を確立。数多くの注文をこなして人情本の第一人者となるが,天保の改革で筆禍をうけ,翌年病没。ほかに「春告鳥(はるつげどり)」「春色辰巳園(たつみのその)」「花名所懐中暦(かいちゅうごよみ)」。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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