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玉虫厨子(たまむしのずし)

法隆寺に伝わる檜製黒漆塗りの厨子。装飾の透彫(すかしぼり)金具の下に玉虫の翅鞘(ししょう)が貼られていることからこの呼称がある。4脚の基台に請花(うけばな)と反花(かえりばな)をもつ腰高の須弥座(しゅみざ)をすえ,その上に単層入母屋造錣葺(しころぶき)の宮殿(くうでん)部をおく。宮殿部と須弥座の側面には朱漆と密陀絵(みつだえ)の技法によって菩薩像・神将像・仏教説話などをいわゆる異時同図法を用いて描く。柱・長押(なげし)・框(かまち)などには唐草文を透彫した金銅製金具を貼り,宮殿内部の側面には金銅製の押出千体仏座像を貼りめぐらせる。制作年代には諸説あるが,7世紀後半との説が有力。747年(天平19)の「法隆寺伽藍縁起并流記資財帳」に記載される「宮殿像弐具」のうちの一具に相当するという説がある。総高226.2cm。国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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