玉(たま)

身体装飾に用いる垂飾(すいしょく)のうち孔をあけたものをいう。形態から勾玉(まがたま)・管玉(くだたま)・切子玉(きりこだま)・棗玉(なつめだま)・臼玉・丸玉・蜜柑玉(みかんだま)・山梔玉(くちなしだま)・算盤玉(そろばんだま)・平玉・小玉とよばれ,ガラスの地に別の色のガラスをはめこんだ蜻蛉玉(とんぼだま)を含め,総称して玉類という。材質は硬玉・碧玉(へきぎょく)・メノウ・水晶・蛇紋(じゃもん)岩・琥珀(こはく)・ガラスなどがあり,古墳後期に現れる中空に作った空玉(うつろだま)は金・銀・金銅製である。日本最古の玉は,北海道の旧石器後期の遺跡から出土した石製小玉である。縄文時代には硬玉製大珠(たいしゅ)が流行し,弥生時代には管玉が盛行するとともに,ガラス製の玉も作られ始めた。さまざまな種類・材質がそろうのは古墳時代で,古墳の副葬品としてしばしば出土。その後は飛鳥寺の塔心礎から出土した勾玉・丸玉・空玉・蜻蛉玉のように,寺院の鎮壇具や舎利荘厳具(しゃりしょうごんぐ)としても一部で使用された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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