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田堵(たと)

「たとう・でんと」とも。田刀・田頭とも。平安時代の公領や荘園の請作者をさす語。本来は現地を意味する田頭の意というが,請作地に堵(かき)(垣)を結うことに語源を求める説もある。田堵は「諸方兼作」といって複数の領主と契約を行う存在で,春先に請文を提出して田地をあてがわれ,1年契約で地子(じし)経営(請作)した。また納税責任を名(な)に負っていたのでしばしば負名(ふみょう)とよばれた。私財を蓄えて力田の輩(りきでんのともがら)と称されるような富裕な農民が,荘園・公領の開発・経営を請け負う専門農業経営者として9世紀半ばに登場し,その請作規模に応じて大名(だいみょう)または小名とよぶこともあった。請作の継続から田堵の土地占有権が強化され,これが領主の万雑公事(まんぞうくじ)・夫役の増徴強化策とあいまって,田堵は11世紀以後耕作地が固定される名主(みょうしゅ)となっていく。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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