大老(たいろう)
江戸幕府の最高職。3代将軍徳川家光時代の1638年(寛永15)に土井利勝・酒井忠勝両人が任じられたのに始まり,その後,幕末期までに7人が任命され,うち4人は井伊家からでた。家光時代の井伊直孝はこの4人には含まれないが,実質的にのちの大老と同様の働きをしており,大老の起源とも考えられる。常置ではなく,定員1人。老中のうえに位置し,少将あるいは中将に任じられ,江戸城内では総下座の礼をうけた。4代将軍家綱時代の酒井忠清,5代将軍綱吉時代の堀田正俊,幕末期の井伊直弼(なおすけ)などは実質的に幕政を主導したとみられるが,ほかは日常的な幕政運営には関与せず,重要な政策決定だけに関与した。綱吉時代の柳沢吉保(よしやす)は少将に任じられて老中上座,大老格の待遇をうけたが,役職は側用人であった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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