布直垂(ぬのひたたれ)とも。家紋を大きく染めだした直垂の一種。大紋直垂の略。武家の標識として好んで用いられた。室町時代の殿中用には,直垂の菊綴(きくとじ)の位置に文様を大きく染めだし,袖括(そでぐくり)は露のみを例とした。袴も腰緒を白く,裾を長くしたてた。江戸時代にもこの風が継承され,直垂より下級の五位の諸大夫の儀服となり,色目(いろめ)も将軍が着用した紫・緋のほかは,好みにまかせて用いられた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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