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大名貸(だいみょうがし)

江戸時代,大名領主に金銀を貸し付けること。領内外の広範な農工商が行い,とくに京都,ついで大坂・江戸といった大都市では,これを専業とする鴻池(こうのいけ)屋などの商人も現れた。17世紀後期以降,典型的に展開した大名貸は,大名の江戸での貨幣支出の膨張に対し,掛屋(かけや)・蔵元(くらもと)に任命した大坂町人に月ごとの仕送りをさせ,年貢米の廻送・売却で決済するいわゆる当用貸が中心であり,これに臨時貸付けが加わった。しかし年貢米の廻送はしばしば滞り,とくに享保年間以降は米価下落・幕府の抑商政策の影響で大名貸は不利となり,不良債権が増大した。この多くは維新政府の藩債処分により切り捨てられ,多くの商人が打撃をうけた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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