大名(だいみょう)
古代においては大規模な名田をもつ者をさしたが,中世になりしだいに有力な武家の領主をさすようになった。幕府から現地の守護に任じられた者は守護大名とよばれ,戦国期には実力で地方の最有力武家領主となった戦国大名もうまれた。たんに大名というときは江戸時代の大名をさし,幕府将軍から直接に領地を与えられた者で1万石以上の者である。総数は約260~270。規模によって国持・国持並・城持・城持並・無城の区別があり,また将軍との親疎により,親藩(御三家・家門)・譜代・外様などの区別もあった。これらの区別にもとづき,官位・江戸城内での詰席,その他さまざまな格式が定められた。江戸時代の大名の統治組織および領地は藩ともよばれ,かなりの程度自立性をもっていたが,一方で将軍に対する参勤交代や軍役の負担が義務づけられ,また除封・転封などにより,その知行権は一定の制限をうけた。ただし幕府と大名の関係は,国持と譜代小藩などの場合ではかなり異なる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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