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太平記(たいへいき)

南北朝期の最大の軍記。40巻。何段階かの書き継ぎ・改訂の末,1370年代の成立とされる。内容から3部にわかれる。巻1~11は後醍醐天皇の倒幕計画から鎌倉幕府の滅亡まで,巻12~21は建武新政の開始から挫折,後醍醐の死まで,巻23以降は観応の擾乱と守護間の抗争を描き,足利義詮(よしあきら)の死,細川頼之の上洛で終わる。さまざまな人間を活写し,叙事だけでなく中国の故事などを引用しつつ評論を加える。南北朝期のほぼ唯一の軍記で,批判は必要だが史料としても重要。巻22を欠く系統の写本が古態を伝える。中世末には広く読まれ,謡曲・御伽草子・浄瑠璃などの題材となった。「日本古典文学大系」「新編古典文学全集」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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