伝馬役(てんまやく)
中世後期~近世の百姓・町人の国役。国家や領主が,物資輸送や人の移動のために賦課した人馬役のこと。付通しで目的地まで運送するものと,宿送りで宿駅ごとに交代するものとがある。江戸幕府は宿駅に,朱印状による朱印伝馬と老中らの証文による証文伝馬を賦課し,無償の伝馬役を課した。また大規模な通行時には国役として伝馬役を郡・国単位に徴発もした。寛永期以降には,幕府規定の賃銭による宿駅人馬使用も,大名などが特権的に使用できる駄賃伝馬役というべきものになった。宿駅の伝馬役を補充する,周辺村々の助郷役も伝馬役の一種。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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