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天保の改革(てんぽうのかいかく)

江戸後期,天保年間に行われた幕政・藩政の改革。天保飢饉を直接の契機として,領主財政の逼迫(ひっぱく),農村の荒廃,百姓一揆の激発のほか,外国船の来航など領主支配の根底をゆるがす内憂外患にせまられ,為政者は体制維持のために政策転換を余儀なくされた。萩・鹿児島・高知藩などの西南雄藩では,領内の産業統制,財政再建,人材登用などの改革に成功し,幕末の政争に活躍できる体制を整えた。幕府では,大御所徳川家斉(いえなり)が死去した1841年(天保12)から,老中水野忠邦の主導により財政・経済の建直しと幕府の権威回復をめざして始められた。物価値下げを目的とした問屋・株仲間解散令,大坂町人への御用金の賦課,幕領農村の刷新を図った御料所改革,年貢増収と流通水路の確保をねらった印旛沼の干拓などをあいついで実施した。43年,江戸・大坂周辺の私領地を幕領に編入する上知令を発したが,関係大名の反対によって失敗し,水野は失脚,改革は中途で頓挫した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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