転封(てんぽう)
移封・所替(ところがえ)・国替(くにがえ)とも。江戸時代,幕府による大名領地の配置替え。恩賞的な加増転封,懲罰的な減封転封,行政的なものなどいくつかの理由で行われた。最も頻繁に行われたのは徳川将軍家初期3代の家康・秀忠・家光の時期であり,結果的に徳川一門や譜代大名が全国に配置される原動力となった。中・後期には転封発令の件数が減少し,譜代大名の幕閣就任にともなう行政的なものにかぎられるようになった。1840年(天保11)の3譜代大名の三方領知替(さんぽうりょうちがえ)は,一度発令されながら強い反対で撤回。このように幕末には幕府の転封実施も行われなくなり,幕府権力の全国統治権の後退を象徴するものとなった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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