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天皇制(てんのうせい)

天皇を中心とする日本の国家体制の呼称。1920~30年代,おもにマルクス主義者により変革・打倒の対象として盛んに用いられるようになったが,第2次大戦後は,きわめて多義的な概念となっている。古代において宗教的権威を背景に天皇を中心とした律令制国家体制が形成されたが,武家政治の時代,とりわけ江戸時代を通じて天皇の実質的政治権力は失われた。明治維新を契機にその伝統的権威を背景として,天皇を中心とする近代国民国家の建設が進められた。1889年(明治22)発布の大日本帝国憲法は,天皇を統治権の総攬(そうらん)者と定め,統治権が憲法の条規により行使されるべきことを規定。君権主義原理と立憲主義原理を併存させた天皇制国家体制が確立した。1930年代は権力機構の一環である軍部の政治的肥大化が進んだが,45年(昭和20)の敗戦により天皇制権力機構はおおむね解体された。47年施行の日本国憲法では天皇の国政への権能は否定され,日本国および日本国民統合の「象徴」と位置づけられ,国民主権のもとでの象徴天皇制が形成された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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