殿下渡領(でんかのわたりりょう)
摂政・関白を兼ねる藤原氏長者の地位に付属する所領として,代々の長者が伝領・管領した所領群。摂関家渡領,たんに渡領ともいう。氏の共有財産として,氏長者の主宰する氏行事の用途を負担した。渡領という言葉は平安中期に初見し,元来は氏長者家の執事・年預(ねんよ)が知行した大和国佐保殿(さほどの)(宿院),備前国鹿田荘,越前国方上荘と,御厩別当が知行した河内国楠葉(くすは)牧の4所領をさした。鎌倉時代には,これに加えて勧学院や法成寺などの氏院・氏寺領も渡領に数えられた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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