出稼ぎ(でかせぎ)
生活の本拠地を一時的に離れ,他地域に一定期間とどまり主として賃稼ぎに従事する労働形態。専業的出稼ぎと季節的副業的出稼ぎがある。前者には薬売りや呉服・海産物の行商人のほか,江戸初期に関東に出漁した上方漁民や日本海沿岸に進出した山陰のソリコなどの漁民があり,生活は漂泊的でもあった。後者には,独特の技術をもった杜氏(とうじ)・屋根葺・木挽(こびき)などの職人や,田植・代掻(しろかき)・稲刈・茶摘みなどの農仕事や都市の米搗(こめつ)きなどに出た農民がある。近代産業の成長にともなって第2次産業中心の出稼ぎに移行し,労働内容が単純化するにつれ旧来の出稼ぎ慣行は減少した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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