とはずがたり(とわずがたり)
鎌倉後期の女流日記文学。5巻。作者の後深草院二条は源通親の曾孫で,源(久我)雅忠の女。4歳で後深草の院御所に迎えられ,やがて上皇をはじめ西園寺実兼・性助法親王・鷹司兼平,さらには亀山上皇などと次々に関係をもち,少なくとも4人の子供を生む(巻1~3)。30歳をすぎて出家し,鎌倉・善光寺・奈良・厳島から,四国・中国地方へと修行の旅を続けた(巻4・5)。これは9歳のときにみた「西行が修行の記」に深く影響された結果という。「源氏物語」などの影響が強く,細部のすべてを事実とみるのはためらわれる。「増鏡」に材料として利用される。「完訳日本の古典」「新日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう