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トラスト

同一の産業部門に属する企業が,(1)営業の受託,(2)持株会社の設立,(3)合併,を通じて単一の意思決定主体のもとに結合した組織形態。基本的目的は市場の独占,価格の規制にあると理解される。参加企業が法的独立性を失っている点で,カルテルより強度の独占形態。日本では主として(3)の方法がみられた。東京人造肥料を中心とする大日本人造肥料の設立(1908~10),上位企業の合併による東洋紡の設立(1914)が先駆的事例だが,市場規制力は低位にとどまった。1930年代の官営八幡製鉄所と民間系企業の合併による日本製鉄の設立,王子製紙による富士製紙の合併,大日本麦酒による日本麦酒鉱泉の吸収・合併が市場規制力を強化した点で,日本のトラストの典型的事例とされる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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