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土蔵造(どぞうづくり)

外回りを土の大壁でおおった伝統的な防火建築。軸部(柱・梁(はり)・桁(けた)など)は塗家(ぬりや)造と同じく木造であるが,壁は一段と厚く,屋根裏・軒裏・格子(こうし)を土で塗り,開口部も火災時には土戸で密閉できるように造る。粗壁を保護する石灰を使った漆喰(しっくい)仕上げをした白壁や,平瓦を用いた海鼠(なまこ)壁などの工夫もされている。中世の京都の高利貸業者の土倉(どそう)は質物保管の土蔵をもつことが前提で,絵巻物にも描かれる。近世は享保期以降火災の多い都市で奨励され,店舗・上質の座敷にも土蔵造が現れた。明治期にも銀行・官庁などで擬洋風建築として利用され,埼玉県川越市・福島県喜多方市などで町並みとして残されている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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