土葬(どそう)
遺体を土中に埋める葬法。火葬が普及する以前には最も広く行われた。遺体を直接土に埋葬するほか,土壙(どこう)を設けたり,甕棺(かめかん)・木棺・石棺などの棺や石組の中に納めて埋葬した。縄文時代以来,土葬の例は数多くみられ,古墳時代には大小の墳丘を築いて竪穴式石室や横穴式石室に副葬品とともに木棺・石棺に遺体を納めて埋葬した。遺体の姿勢によって屈葬(くっそう)・伸展(しんてん)葬・蹲葬(そんそう)などがある。平安時代以降は,釈迦入滅時の姿をまねて北枕,西向きの体位がみられるようになる。農山村では,近年まで土葬を行っていた地域もあるが,衛生上の問題や墓域拡大の困難などの事情から,条例によって禁じられ火葬に転じた例も多い。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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