土佐日記(とさにっき)
平安中期の日記文学。紀貫之(つらゆき)作。土佐守の任期を終えて,934年(承平4)12月21日国府を出発し,翌年2月16日に帰京するまでを記す旅の日記で,貫之に従う女性に仮託し仮名文で記す。成立は935年頃。貫之は自己の内面を表現するために,当時は女性のものであった仮名文を選び,官人の立場を離れて自由に記すことが可能になった。とはいえ漢文的な表現が多く,内容も男性的。虚構の部分も多い。日本最初の日記文学として価値が高いが,成立年代が明らかで写本が貫之自筆本にたいへん近いという点で,国語学の資料としても貴重。「日本古典文学全集」「日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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