床の間(とこのま)
日本建築の建物で,書画の掛軸や生花・置物などを飾る場所。室町時代の書院造にともなった押板(おしいた)が原型といわれ,香炉・花瓶(けびょう)・燭台などの三具足(みつぐそく)をおいた場所。上層農民・町人の住居に床の間が設置されるようになるのは江戸時代からで,一般庶民の住居にまでとりいれられるようになるのは明治期以降である。座敷の上座に設けられ,間口は1間がふつうで,奥行は3尺ないしはその約半分,床板は畳の面より床框(とこがまち)の分だけ高くなっている。江戸時代の上層農民・町人の床の間は,違棚(ちがいだな)と対になって設置され,書院を併設する場合も多い。軸物や花を飾るなど,住居にあっては芸術空間であり,正月に年神(としがみ)を祭るなど神聖な空間でもある。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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