独占資本(どくせんしほん)
生産と資本を集積・集中することによって市場支配力をもつに至った大資本。ドイツやアメリカでは,1870年代から20世紀初めにかけ,重工業を舞台に独占資本の展開をみたが,日本ではこれと異なり,綿紡績業が先頭となった。有力紡績会社は,日清戦後恐慌を契機に多くの会社を合併・買収して大規模化することで商社との関係を有利化し,不況時の国内向け生産の抑制と輸出ダンピングという大日本紡績連合会のカルテル活動を主導し,1918年(大正7)には鐘淵・東洋・大日本の3社が綿糸生産の51%を占めるに至った。なお,独占資本は本来重工業において形成されるものだとの観点から,日本における形成期を第1次大戦以後に求める説も有力である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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