徳政令(とくせいれい)
売却地の売主への返還,債権債務契約の破棄などを規定した朝廷・幕府・大名などの法令。751年(天平勝宝3)に749年以前の債務契約の破棄を宣言した例があるが,1297年(永仁5)鎌倉幕府発令の,質入・売却した御家人所領の回復を図った永仁の徳政令が最も有名。その発令は御家人以外の広範な人々にも旧領回復の行動をひきおこした。以後鎌倉末~南北朝期にも何度か発令され,室町時代には徳政を求める土一揆の頻発により幕府の手で頻繁に発令された。分一銭(ぶいちせん)の納入を条件とする分一徳政令も発せられた。現代人には経済界を混乱させるかにみえるこの法令は,中世人独特の所有観念においては抵抗なくうけいれられたとされる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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