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徳政(とくせい)

一般的には仁徳のある政治,善政を意味するが,債務破棄・売却地の取り戻しをもさす。本来の姿が正しく,世の秩序が時代とともに崩れていくのだという前近代社会の特徴的な観念にもとづけば,本来あるべき姿への回帰,秩序の復活に相当する。古代社会には,売却・譲渡したものを取り戻すことができる商返(あきかえし)の慣行があり,債務の破棄などが行われた。これが荘園整理令をへて,中世には,公家においては寺社領の,幕府においては御家人領の復活となって現れ,とくに弘安年間には公武一同の徳政として現れた。その眼目には,雑訴の興行すなわち裁判制度の拡充も含まれたが,これも本来あるべき姿を確定するための手段であったといえる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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