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道理(どうり)

日本中世,ことに武士社会の規範意識を律した中核的な観念。ひとことでいえば正しさであり,「道理にかなう」ことがみずからの主張の正しさを根拠づけ,対社会的な説得力をもたせる方便として機能した。具体的な内容をともなった規範ではなく,個々の主張を道理に結びつける実体的な基準があったわけではないが,なにが道理にかなうかについてはある程度の社会的な了解があったことも事実である。そうした了解の存在が,実体法規範の欠如した中世,ことに中世前期の武士社会では社会的な合意形成の基盤として,また萌芽的な法形成の基盤として機能した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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