東大寺要録(とうだいじようろく)
院政期に成立した東大寺の寺誌。編者不明。1106年(嘉承元)成立。はじめは本願章・縁起章など10巻10章であったが,34年(長承3)東大寺僧観厳(かんげん)により増補された。編纂の動機は平安後期に至り東大寺が衰退したため,その復興を願い,東大寺に関する諸史料を集め,同寺の歴史およびその正当性を主張することにあった。奈良・平安時代の他にみられない史料を多く引用しているため,東大寺の歴史だけでなく古代史の重要な史料。東大寺および醍醐寺が古写本を所蔵(ともに重文)。刊本は筒井英俊校訂本など。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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