当世書生気質(とうせいしょせいかたぎ)
明治期の小説。春の屋おぼろ(坪内逍遥)著。1885~86年(明治18~19)晩青堂刊。逍遥が「小説神髄」で提唱した小説理論の実践を試みたもの。戊辰(ぼしん)戦争の際に生じた数奇な運命を縦糸に,私立学校の書生たちの生態を横糸に,小町田粲爾(さんじ)と芸者田の次(たのじ)の恋愛,田の次と守山友芳の兄妹再会の物語を主筋とする。人情本・滑稽本・読本などの江戸戯作の遺産を受け継ぎながら,それを克服しようとしたところに生硬な点がみられるが,勧善懲悪主義を排し,写実主義を唱導した先駆的作品。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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