東京都(とうきょうと)
東京を区域とする地方自治体。東京の地方制度は1889年(明治22)5月の市制・町村制施行以来,市長をおかず府知事がその職務を行うとする東京・大阪・京都の市制特例もかねて議論が多く,首長の官選・公選をめぐり政府・貴族院と衆議院・東京市が対立していた。戦時体制への移行にともない,首都東京の行政一元化・効率化が要請され,1943年(昭和18)7月1日に東京府・東京市を廃止し,東京都制が施行された。都下の市町村に対しては他府県と同様の権能をもち,特別区については市としての権能をもっている。当初は太平洋戦争突入による戦時体制強化のため発足したこともあり,きわめて官治的色彩の強い都制であった。しかし戦後の46年9月,地方制度の民主化の一環として東京都制の画期的な改正が行われ,それまで任命制だった都長官と区長を公選制とし,区の課税権と起債権が認められた。47年4月に統一地方選挙が実施され,公選の都長官が誕生。翌5月3日新しい地方自治法の施行によって,官治色の強かった東京都制は戦後の民主化のなかで廃止され,東京都は他の道府県・市町村と同じように普通地方公共団体として発足し,従来の都長官は都知事と改称された。同時に区は特別地方公共団体として法人格が与えられ,原則としてそれぞれの区は市と同様の自治権をもつ特別区として発足することになった。戦前の区は35区あったが,47年自治権の基盤確立のため適正な面積を基準に特別区の編成替えが行われ23区がおかれた。また町村合併による市制も昭和30~40年代に施行された結果,2013年(平成25)現在で島嶼部を含め23区26市5町8村からなる。都内の人口は62年に1000万人をこえ,その後,一時減少したが,2015年(平成27)4月では1343万人となっており,首都として政治・経済・文化の面で過度の集中がつづき,その対応が東京都の行政にも求められている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう