問丸(といまる)
中世,港湾や都市に居住して,荘園年貢や商品の輸送・保管・卸売・為替業などに従事した総合的な運送業者。たんに問ともいうが,語源は未詳。平安末期に水上交通の労力奉仕者として淀川流域などに発生し,鎌倉時代に入ると特定の荘園領主と結びつき,年貢米輸送を担当する荘官としての問職が登場した。鎌倉末期以降は年貢米の輸送だけでなく,その徴収や委託販売にたずさわる者も現れた。商品流通の発達にともない年貢以外の商品も扱う総合的な運送業者に成長。中世後期になると塩・魚・紙・材木など商品ごとに専門化し,流通・卸売を独占した。一部はのちの問屋に発展した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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