徒然草(つれづれぐさ)
鎌倉後期~南北朝期の随筆。2巻。吉田(卜部(うらべ))兼好(けんこう)著。成立には1319年(元応元)の一部起筆を認める説や,30年(元徳2)頃とする説,50年(観応元・正平5)頃まで引き下げる説などがある。堀川家の家司をへて蔵人(くろうど)として朝廷に仕えた経歴もあって,有職故実に明るく尚古趣味が強い反面,金沢文庫蔵文書からは関東との深い関係が推定され,北条氏や関東武士の質実さ,誠実さへの共感もみられる。石田吉貞は,山林の隠者から市井の隠者への変わりめに立っていると評したが,無常観の底に人間への精力的な働きかけを読むことができる。「新日本古典文学大系」他所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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