爪形文系土器(つめがたもんけいどき)
縄文草創期の土器様式の一つで,爪または篦(へら)状工具による刺突文を器面全体に連続的に施す点に特色がある。編年的には隆起線文系土器に後続する時期に位置づけられる。器形は尖底(せんてい)または丸底の深鉢形。九州および本州に分布するが,西日本と東日本では爪形文の施文形態に差違が認められる。東日本では,拇指と人差指で器面をつまむように施文された「ハ」の字形爪形文が特徴的だが,西日本ではこの方法はまれである。なお南西諸島には嘉手納(かでな)町野国貝塚B地点をはじめヤブチ式・東原(あがりばる)式の独特な爪形文土器が分布するが,それらは約6000年前の縄文前期に相当する様式である。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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