津留(つどめ)
荷留とも。中世~近世に物資の移出入を制限・禁止した領主政策。津(港)で行われることが多いためこの名があり,対象物により米留・塩留などがあった。戦国大名はとくに軍事目的から物資の移出入に注意を払い,1568年(永禄11)今川・後北条両氏が手を組んで武田氏への塩の供給を遮断した措置は,戦略的な経済封鎖として有名。藩政確立期には,多くの藩が産物を特定して領外移出を禁じ,自給自足体制の維持をはかった。商品流通が全国的に展開した江戸中期以降は,とくに米価調節を目的とした政策が繰り返されたが,実施をめぐりしばしば領民とのトラブルが発生。津留の際,港や藩境の番所では,物資のほか船舶や人の往来も監視した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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