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宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)

鎌倉初期の説話集。編著者未詳。2巻で,1659年(万治2)整板本以降,15冊本となる。雑纂。197話。成立は159段「後鳥羽院御時」の記述から,承久の乱(1221)後まもなくとされる。序文には散逸した「宇治大納言物語」の改訂増補とあるが,隣接話題との有機的な連関性や離れた話題相互の対話的関係性が指摘されるなど,緊密な編纂に独自の作品世界の形成が認められる。話題は内外貴賤聖俗にわたり多様。大半は「今昔物語集」などに同話がみられるが,明確な意味づけを示さずにさまざまな読みを引きだす仕掛けをもつ点が特徴。既成の価値観を相対化しながら笑いに解消する姿勢に,変動期の表現性がうかがえる。「新日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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