邪馬台国(やまたいこく)
「魏志倭人伝」にみえる倭(わ)の諸国中,最大の国。倭人伝によれば,その社会には大人(たいじん)・下戸(げこ)の身分の別があり,また租賦の制や刑罰なども存在し,すでに初原的な国家形態を備えていた。3世紀前半,倭の諸国間におこった大乱を収拾するため,諸国の王は邪馬台国の女王卑弥呼(ひみこ)を共立して王とし,卑弥呼は諸国の盟主として30ほどにのぼる諸国の連合を統轄した。卑弥呼は中国の魏(ぎ)に遣使し,親魏倭王の称号を与えられ,連合は女王国とよばれるようになる。卑弥呼の晩年,邪馬台国は南の狗奴(くな)国と対立し,戦闘をくり返したが,これは弥生時代後半から古墳時代前半にかけて,一定範囲内の村落が地域連合を結成し,やがて政治的に統合して一つの地域政権へと成長する過程を示すものであろう。なお邪馬台国の所在地をめぐっては長い論争があり,大きくわけて北九州説と畿内大和説が対立している。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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