寄木造(よせぎづくり)
一木(いちぼく)造に対するもので,頭体の幹部を前後あるいは左右に2材,または前後左右に4材を矧(は)ぐなど二つ以上の材で造る技法。ただし材の大きさが不均等である場合は寄木造とはいわない。ふつうこの幹部に小材を矧いで全体を造るが,そこにも一定の規則がある。10世紀半ばに頭体部全体を2材で造る初期的な寄木造が現れ,1053年(天喜元)に定朝(じょうちょう)が造った平等院鳳凰堂阿弥陀如来像(国宝)ではほぼ完成した木寄法がみられる。寄木造はその後も発達し,用材の大きさを細かく指定した仏師の注文も残る。複数の材で造るこの技法は,材の確保が容易で分業が可能であり,平安後期の貴族の膨大な需要に応えるために発達した技法といえる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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