夢の代(ゆめのしろ)
江戸後期の町人学者山片蟠桃(やまがたばんとう)の主著。天文・地理・神代・歴代・制度・経済・経論・雑書・異端・無鬼(上下)・雑論の12巻からなる。懐徳堂の中井竹山・履軒(りけん)の校閲をへて1820年(文政3)完成。知の枠組みはいわゆる懐徳堂朱子学だが,そこに一貫する徹底した合理的視点は,従来の朱子学的窮理概念の変容を示す。地動説にもとづく新しい世界像,合理的歴史像の提示,市場経済の分析など近代的合理性が高く評価されるが,合理性の特質を最もよく表しているのが,「神も鬼も存在しない」という無鬼の主張である。「日本思想大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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