弓月君(ゆづきのきみ)
秦(はた)氏の祖とされる伝説上の人物。「日本書紀」は応神14年に百済(くだら)から渡来したとするが,実は新羅(しらぎ)系で,その伝承も東漢(やまとのあや)氏や西文(かわちのふみ)氏に対抗して後代に造作したものとされる。秦氏の成立も,欽明朝頃に山背国を中心に各地の新羅系渡来人を組織したもので,中国史書に辰韓は秦の亡命者とあることから秦氏と称したものであろう。ユヅキも,斎槻(ゆつき)の木のことで,古代朝鮮の聖木信仰に由来する語であろう。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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